Vol.3 「子宮頸がん」は自分で予防できるがん

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子宮頸がんは「HPVワクチン接種」と「子宮頸がん検診の定期的検診」で予防できる

子宮頸がんの予防方法

子宮頸がんは自分で予防できるがんって、知っていますか? HPVワクチンの接種が普及している海外では、すでに「排除」も議論されるほど希少ながんになりつつあります。

その予防法は2つ。まずはHPVワクチンの接種による感染の予防。もう一つが子宮頸がん検診による早期発見です。

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こります。つまり、感染前にHPVワクチンを接種することで感染を予防することができるのです。

ただし、感染してからHPVワクチンを接種しても効果はありません。感染の主な原因は性交のため、できるだけ性交を経験する前に接種するのが理想的です。

HPVワクチンの接種はいつからできる?

子宮頸がんのワクチン接種

HPVワクチンの定期接種の対象年齢は、小学校6年生〜高校1年生相当の女の子です。

HPVは200以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因になるのは少なくとも15種類あります。国内で承認されているHPVワクチンには、対応する型の数によって3種類あり、2価HPVワクチン(サーバリックス)、4価HPVワクチン(ガーダシル)、9価HPVワクチン(シルガード9)があります。

このうち2価HPVワクチンと4価HPVワクチンは、対象年齢であれば原則として費用の負担なく接種することができます。9価HPVワクチンは現時点では定期接種の対象ではありませんが、2023年4月からの定期接種化の準備が進められています。

HPVワクチン接種スケジュール

HPVワクチンは、自分の住んでいる市区町村の協力医療機関で接種することができます。申し込み方法やどこの病院で接種できるかは、各市区町村のホームページを確認しましょう。

キャッチアップ接種は2025年3月まで

行政がHPVワクチンの積極的な勧めを控えていた間に定期接種の対象だった、1997年度〜2005年度生まれで過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない女性は”キャッチアップ接種”という、公費(無料)で接種ができる制度の対象になっています。2006年度生まれ・2007年度生まれは定期接種の年齢を越え次第、キャッチアップ接種の対象になります。キャッチアップ接種の期間は、2025年3月までです。

また、キャッチアップ接種の対象者で、自費で接種をした方への償還払い制度があります。詳しくは自分の住んでいる市区町村のホームページを確認しましょう。

また、HPVワクチン接種と合わせてがん予防に欠かせないのが子宮頸がん検診です。

子宮頸がんはHPVに感染してから数年から数十年経って発症するため、定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の前がん病変の段階で見つけられる可能性が高くなります。

厚生労働省では、20歳以上の女性に対して、2年に1回の子宮頸がん検診を勧めています。費用は年齢や住んでいる自治体によって異なるため、自分の住んでいる市区町村のホームページなどで確認してみましょう。

子宮頸がん検診って何をするの?

子宮頸がん検診は、婦人科や産婦人科で受けることができます。

子宮の入り口部分の表面を柔らかいヘラやブラシで軽くこすって、がんができる場所の細胞を直接採取して調べます。痛みには個人差がありますが、1〜2分で済む簡単な検診です。ちなみに、性交の経験がない人は子宮頸がん検診を必ずしも受ける必要はありません。

子宮頸がん検診

なぜワクチン接種と定期検診どちらも必要なの?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は200以上の種類があり、ワクチン接種だけですべての型のHPV感染を防げるわけではありません。

また検診で見つかりにくいがんや体内で長年おとなしくしていたウイルスが免疫力の低下によって再活性化し、突然がんに進行する可能性もあります。

「HPVワクチン」と「子宮頸がん検診」のどちらかだけではなく、両方を組み合わせることが、子宮頸がんのより効果的な予防につながります。

子宮頸がんと予防のタイミング

子宮頸がんは、自分で予防できるがんです。正しい知識をしっかりアップデートして、自分で自分の体を守りましょう。

教えて!子宮頸がんの予防のこと
Q.HPV感染はコンドームでは予防できないの?

A.コンドームだけHPVの感染を完全に予防することはできません。ヒトパピローマウイルス(HPV)は外陰部や肛門などコンドームでは守りきれないところにいたり、手や指から感染することもあります。

Q.性交渉をたくさんしていると、子宮頸がんになりすい?
A.HPVはごくありふれたウイルスで誰でも感染する可能性があります。また、感染したからといって必ずがんになるわけでもないため、そうとは言い切れません。

Q.性交渉の経験があったら、ワクチンを打ってもムダ?

A.HPVは200種類以上あります。性交渉の経験があっても、ワクチンで守れるHPVの型にまだ感染していなければ、HPVワクチン接種は有効です。

Q.男性もワクチンを打った方がいい?

A. HPVワクチン接種は、子宮頸がんだけでなく、肛門がん、中咽頭がん、陰茎がんなど男性がかかるがんへの予防効果も期待できます。また男性が接種することで、女性へのHPV感染を減らせる効果が期待でき、子宮頸がんを減少させる効果も。ただし現在、男性は定期接種の対象外です。そのため接種には約5万円ほどかかります。

監修:大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科講師上田豊先生 

「子宮頸がんで苦しむ日本の女性を少しでも減らしたい」という強い思いから、日本のHPV感染状況やHPVワクチンについてさまざまな角度からの分析・検証に取り組んでいる。同時に、産婦人科医として子宮頸がんの診療にあたりながら、子宮頸がんの正しい情報と予防策の普及にも努めている。

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