Vol.2「子宮頸がん」は妊娠・出産に影響大。

lpTOP画像

子宮頸がんは将来の妊娠や出産にも影響する

子宮頸がんと妊娠の関係

子宮はおなかの中で赤ちゃんを育てるために必要な臓器です。つまり、その子宮の頸部のがん(子宮頸がん)の治療をするということは、当然妊娠や出産にも大きく影響するということです。

場合によっては、子どもが産めなくなってしまったり、妊娠しにくくなったり、早産や赤ちゃんが小さく産まれる低出生体重児や新生児死亡につながることもあります。

どんな風にがんに進行していくの?

子宮頸がん進行過程
出典:国立がん研究センター がん情報サービス→日本婦人科腫瘍学会編「患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第2版(2016年)」(金原出版)より作成

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染から数年から数十年かけて進行します。HPVに感染後、すぐ発症するわけではなく、がんになる前の状態(前がん病変)を何年か経てがんになります はじめはごく一部で子宮頸部の細胞に異常が生じ、その後、異常な細胞が増えていきます。図のように軽度異形成、中等度異形成、高度異形成・上皮内(じょうひない)がんと前がん病変が進んでいって、子宮頸がんになります。

子宮頸がんになるとどんな症状があるの?

がんになる前の状態(前がん病変)では、ほとんど自覚できる症状はありません。進行すると茶褐色や黒褐色のおりもの、生理以外の出血、性行為のときの出血、下腹部の痛みなどが現れてきます。

子宮頸がんは特別な人がなる病気ではなく、性交経験のある女性なら誰でもかかる可能性があります。少しでもいつもと違う症状があれば、迷わず婦人科を受診することが大切です。

子宮頸がんの治療とは?

子宮頸がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があり、がんの進行状況によって単独または複数を組み合わせて行われます。

手術の方法には主に2種類あります。一つは子宮全部を摘出する「子宮全摘術」。もう一つは、子宮頸部の一部を切除する「円錐(えんすい)切除術」です。

子宮頸がんになる手前の高度異形成・上皮内がんではこの円錐切除だけで治癒が期待されます。ごく早期の子宮頸がんでも円錐切除のみで経過を見ることがあります。

子宮はおなかの中で赤ちゃんを育てる臓器のため、子宮全部を摘出した場合は将来妊娠することが不可能になります。しかし、子宮頸部の一部を切除する「円錐切除術」にも妊娠への影響があります。妊娠した際の早産のリスクも一般の約4倍に。またその場合、赤ちゃんが小さく産まれる低出生体重児や新生児死亡にもつながります。子宮頸がんの治療は、将来の妊娠や出産に大きな影響を与えるだけでなく、自分の子どもの世代にまで影響する可能性があります。

円錐切除術の影響

子宮頸がんを発症し、進行してしまうと、子宮を大きく摘出したり、放射線治療を追加する必要があり、後遺症に悩まされることも珍しくありません。

大切なのは、子宮頸がんになる前に予防すること。子宮頸がんはワクチンの接種で多くの感染を防ぐことができます。また、20代からの定期的な検診で前がん病変のうちに発見することで手術を最小限にし、命を守ることができます。

監修:大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科講師上田豊先生 

「子宮頸がんで苦しむ日本の女性を少しでも減らしたい」という強い思いから、日本のHPV感染状況やHPVワクチンについてさまざまな角度からの分析・検証に取り組んでいる。同時に、産婦人科医として子宮頸がんの診療にあたりながら、子宮頸がんの正しい情報と予防策の普及にも努めている。

PAGE TOP