がんは遺伝子レベルで考える時代に③
がんの可能性を事前に知ることも!?

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自分に合った「がん検診」を行う時代に

近い未来、「がん検診」も遺伝子レベルで個々に合ったプログラムが作成されるようになるかもしれません。そのカギは「がん遺伝子検査」。遺伝子を調べ、体質的にがんにかかりやすいかどうかを解析できるのが「がん遺伝子検査」です。これが一般的になれば、がんの発症前に、なりやすいがんを個々で事前に把握できるようになります。

そうすれば、リスクに応じた個別の検診プログラムを作成することができ、自分にあったより効果的な「がん検診」ができるようになります。

もちろん、事前にがんのリスクを知ることができるようになることで予防・早期発見につながるという大きなメリットはあります。

しかし、それが就職や結婚といった場面で差別につながる可能性も。がん予防の技術の進歩は、「差別のない世界」を作ることと両輪で行われる必要があります。

今もこれからもがん予防の基本は同じ

どんなにがん予防の技術が進歩しても、日々の生活における基本的ながんの予防法は今もこれからも同じです。

がんの予防のために大切なのは大きく3つ。1つめは、タバコや飲酒、食べ過ぎや運動不足などの発がんの原因になる環境因子を知り、若いうちから注意すること。2つめは、対象の年齢になったら定期的にがん検診を受診すること。最後に、子宮頸がんなどワクチン接種で予防できるがんは、ワクチンを接種すること。

若いうちはどうしても人ごとと捉えてしまいがちな“がん”ですが、今からできることをはじめることで、未来の自分を変えられるかもしれません。

【がんは遺伝するの?】
がんは多くの場合、遺伝する病気ではありません。しかし、乳がん、卵巣がん、前立腺がんなどは全体の5〜10%が遺伝性のがんといわれています。遺伝によって“がんになりやすい遺伝子の変異”は、次の世代に受け継がれることがあります。

遺伝性のがんの診断や治療は、近年目覚ましい進歩を遂げています。乳がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がんにかかった人は、遺伝性であるかどうかの血液検査を保険適用で行うことができるようになりました。

一方、がんにかかっていないものの自分が遺伝性のがんになる可能性があるかどうか気になる人は、両親、祖父母など自分の親族のファミリーヒストリーを知り、がんの病歴を知っておくことが大切です。もし遺伝性のがんの可能性がある場合は、若いうちからがん検診を定期的に受診するようにしましょう。

監修:昭和大学臨床ゲノム研究所所長・日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構理事長・昭和大学医学部乳腺外科特任教授・認定NPO法人 乳房健康研究会副理事長 中村清吾先生

日本の乳がん治療の第一人者のひとり。聖路加国際病院ブレストセンターを立ち上げ、初代センター長とし乳がん治療におけるチーム医療を導入。昭和大学医学部乳腺外科主任教授を経て、がん医療の将来を見据え、同大学に臨床ゲノム研究所を設立。将来、治すのが難しいとされるがんや親から子に伝わる遺伝性腫瘍の克服への道を開くため、基礎研究と臨床の架け橋的役割を担っている。

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